子供の頃、お正月といえば祖父母や両親・親戚のおじさん・おばさんからもらうお年玉が楽しみでした。前の年より少し多目に包んであるとそれだけ成長が認められたような気がして少し誇らしく感じたものです。
それにしてもお正月にもらうお小遣いを「お年玉」と呼ぶのはなぜでしょうか。
東北のある地方では最近まで「お年玉」と言えば神様からいただく餅のことを指していました。年の暮れになると各家庭では円形の小さな餅をいくつも作り年神様のお供えにしました。お供えが終わるとその餅を神様からいただいたものとして子供達に配ったのです。
かつては日本各地で似たようなことが行われていました。お年玉の「玉」は「霊(たま)」「魂(たま)」と同じです。神様にお供えしたお餅は尊い霊力に触れたことで、普通の餅とは違う強い力を持つ「お年玉」になりました。だからこそ、そのお餅を食べることで新年もつつがなく過ごすことができると考えられたのです。
餅はいつしかお金に代わってしまいました。もらう立場の人間はいつの間にか渡す立場になり、親戚の子供の人数を指折り数えながら、すこし渋い顔になったりしています。それでも単なるお小遣いではない「お年玉」に大人たちの魂を添えて・未来の大人たち″へ渡してあげましょう。
※歳神様・・・大晦日の夜各家庭に訪れる先祖の霊とも田の神様とも言われる神様。