平成25年度 教養研修会報告

平成25年度 教養研修会報告

開催日:平成26年2月14日

会場:川越氷川神社氷川会館

研修主題 「神職と氏子が共に求める神社教化の向上について」

副題「氏子や地域住民が神社に興味をもつために」

平成25年度は式年遷宮や出雲大社の遷宮が斎行され、神社に対する世間の注目が集まり、日本人の精神の基層にある信仰心が見直された一年であったと思わざるを得ません。この景況を鑑み、地域の神社に対する信仰の恢復と、神職が産土神や氏神様を信仰し支える氏子を如何に育てていくのかをテーマとした研修会を企画しました。

 

「神社が教えてくれた人生の大切なこと」

作家・営業コンサルタント 和田裕美(わだひろみ)先生

神様は明るい人が好き

外資系会社での完全歩合制による営業時代、チャンスは平等で同じ市場を扱っているのに、結果が不公平なのは、能力の差は考え方の差・収入の差は行動量の差によるからです。ものを売る、ものを伝える、人の心を動かすというのは好かれていないとできないと思っています。答えは簡単、笑顔が長いことなのです。気が付いたのは自分が暗い気持ちだと相手も暗くなる。明るい人がものを一生懸命勧めれば、人の心が変わることが分かったのです。

私が神社に行くようになって心がけ、人にも勧めている言葉は「明るく、明るく、元気に」です。神様は明るい人が好きだと思っています。だから、「暗い気持ちで神社に行かないで」と言っています。明るい空気づくりは5秒間笑顔をキープすること。性格が悪くても良い人に見えます。どんなに良い人でもそこで相手に不快感を与えれば、それはそこでは悪い人ですからと述べられました。

陽転思考

陽転思考とは、和田先生が営業時代、オリジナルの解釈をつけて実践してきた思考方法です。陽転思考は単に物事を肯定的な方向に考えるポジティブシンキングとは違い、怒っても愚痴や文句を言っても構いません。ただ、切り替えを早くしようということなのです。

「不幸」検索をしていると、心が穢れていく感じがします。心が穢れると、自分を殺していますよね。一番の罪、穢れとは自分を痛めることだと思います。なので、この検索キーワードを、「良かった」って言葉に変えてもらいます。これは検索ワードを変えるだけで人格が変わっていくと私は思っていて、営業や仕事をやる上で、人や物事の良いところを探す思考パターンを持ってないと通用しないのです。これは単なるプラス思考ではなく、一度ネガティブになっているから、相手のことが理解できるのですと述べられました。

人が見ていなくても神様が見ている

完全歩合制の仕事は、結果が出ないと生活できないので、絶対やっていたら大丈夫という信じる心が大事だったのです。そういう時に神社に行くようになったのです。そして、人が見ていないところでも神様が見ていると思って行動しようと思ったのです。そう思うと頑張れるのです。サボれないし、ゴミが落ちていたら拾おうと思うのです。

自己規律を神社に行って作ったことで結果が出たのです。だから、神社に行って下さいね、と。願いが叶うとかでなく、自己規律を持つことで、仕事や人間関係が上手くいくからです。こんなにたくさんのものが貰えるのが神社だからですと述べられました。

神職から伝えて欲しいこと

『神社のおかげさま』という本に書き、セミナーなどでもお話しするのですが、現在、日本に誇りを持てないという日本人が40㌫もいます。でも、日本を訪れた多くの諸外国の人たちが一様に日本人の持つ高貴な精神に驚きと敬意を示しています。私はこの精神が神道の中にあり、それを教えて下さるのが、神社そのものだと思っています。

ちゃんとした宗教、信じるものがあるところは鬱病が少ないそうです。私が神社を伝えたくなったのは、鬱をなくしたいからです。もっと心が元気な人が増えないと困ると思ったからです。神社へ行くようになったら必ず治ると思います。

今、神社に関心が高まっています。神職の方には、ぜひ神社を広めるって事が、日本を強くすると思うので、日本人って世界一素晴らしいのですよって、笑顔で声をかけて教えてもらえると嬉しいと述べられました。

 

「長生館のおもてなし」

長瀞町 長生館(ちょうせいかん)代表取締役 小埜一博(おのかずひろ)先生

神社と地域づくり

長瀞町商工会や観光協会の役職、又、寶登山神社総代の立場から長瀞町と寶登山神社の歴史等を話されました。特に寶登山神社を中心とした長瀞町の発展に御活躍された、寶登山神社横田茂前宮司の功績を挙げ、神職による地域づくりの紹介をされました。

平成五年に今上天皇両陛下が長生館にご宿泊され両陛下をお出迎えしました。その折、ご案内する時も真中は神様の通られる道だからいつも隅を通りなさいとの横田宮司からのご指摘があり、現在の旅館経営のおもてなしの基礎を勉強させていただいた思い出を語られました。

旅館の要素とおもてなし

日本の旅館には大切な要素が四つあり、施設・料理・サービス・ロケーションがあるといわれ、日々旅館業経営の維持管理に苦労をされました。この四つの要素がおもてなしの心となり、又、礎となり現在の長生館の姿になったと言われました。

おもてなしの伝え方は、まず自分達におもてなしをするという心がなければお客様に伝わらない。東京オリンピック招致活動にて「おもてなし」という言葉が流行語になったが、この言葉は歴史や自然との調和を重んじる日本人が古来より受け継がれてきた価値観であり、誇るべき文化であるので、今後総代の立場から神社に対し一所懸命奉仕しようと述べられました。

 

「これからの神職の視点を考える」

甲斐一宮 淺間(あさま)神社宮司 古屋真弘(ふるやまさひろ)先生

神職の視点

これからの神職として課題をどう捉えるか

これからの神職は意識改革を必要とした時期に向かっていると定義され、視点の基本にありながらも広い視野をもって氏子と接することが大切と指摘されました。神社ネット・電子マネー賽銭等他県の神社教化実例を挙げ、必要な意識改革と行き過ぎた教化を比較し、神職の視点や参拝者ニーズをどう捉えなければいけないか話されました。ペット参拝・人形お焚き上げ等、現代の神職が悩ませられる問題点を考えなければいけません。

ケーススタディー

いろいろな事例について分析されました。

社団法人キープ協会にて行っている「鎮守の森の環境教育的価値」や「一方的に伝える10のポイント」や「イベント開催のノウハウ」の事例を紹介されました。

神職からの視点をもう一度振り返り、視点とはこれからいろいろなことを見た上で、いろいろな考え方を持つことが大切だとまとめられました。

 

三講師のお話から、教養を目的とした研修会を企画しましたが、講義内容から教養・教化・実務を併せた総合研修になったように思われます。崇敬者・総代・神職と夫々の立場からお話しを頂き、神職がどんな気持ちで神社運営したら良いか、新しい切り口としての研修内容を神明奉仕の中で活かしていただければと思います。

(編集 教化委員会研修部神島班)

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